3月に子どもと一緒にナイフを使ってみたい大人に向けた講習会を行います

3月に子どもと一緒にナイフを使ってみたいと考える大人に向けた講習会を、神奈川県の相模原市で開催します。

2025年札幌での子どものナイフワーク講習会より

2025年札幌での子どものナイフワーク講習会より

この講習会は2022年より、毎年開催してきた指導者向けの講座です。
受講を希望される方の活動分野は幅広く、保育士さんや学校の先生や児童館職員の方、森のようちえんや野外活動団体のスタッフさん、地域の森でもの作りの活動をされるグリーンウッドワーカーやブッシュクラフトを実践される方などが集まり、学びあう場となってきました。

今年度は関東地域を拠点とされるアカデミー卒業生達にもご協力頂き、神奈川県相模原市の県立相模湖交流センターを会場にして、初の関東圏での講座を開催をすることになりました。
これまで、岐阜や北海道では開催地が遠く参加を見合わせて来られたという方は、この機会にぜひご参加頂けたら嬉しいです。

2024年の講座での事例紹介の様子

2024年の講座での事例紹介の様子

この講座では、岐阜と仙台で年間を通じて幼児や小学生にナイフワークの指導を行っている講師が、子どもの特性に合わせた形のナイフの指導方法をお伝えします。

座学では子どものナイフワークの活動事例や道具の選び方の紹介。
実技講習では、木を削って作品を作るだけでなく、実際に親子の参加者を招いて行う「親子のナイフワークプログラム」を見学して頂きながら、どのように子どものナイフワークの活動をしているのかを見て学んで頂きます。
講座の中では、座談会形式での参加者それぞれの心配事や課題意識を共有する意見交換会も行う時間もあり、活動の仲間を見つける機会にもなるかもしれません。

保育園でのナイフ教室の様子。写真左は講師

保育園でのナイフ教室の様子。写真左は講師

初年度から3回はグリーンウッドワーク協会さんにご協力を頂き森林文化アカデミーのある岐阜県美濃市で開催し、前回(2025年)は北海道札幌市を拠点とされる「こどもとおとなのグリーンウッドワークSAPPORO」さんにお招き頂き、札幌市青少年山の家で1泊2日で開催したこの講座。
関東圏の子どもに関わる活動をされている方々や、これから、子どもたちと一緒に、ナイフを使ってみたいと考えられている方は、ぜひこの機会にご参加ください。

R8.3.21-22大人のための子どもナイフワーク講習会チラシ_表面

講座の概要

【日 程】2026年3月21日(土)、22日(日)※2日間通じての講座となります
【時 間】(21日)10:00~16:45 (22日)10:00~16:30
※21日の17:00~ 希望者のみ参加の交流会を行います
2日間のタイムスケジュールはこちら

【場 所】相模湖交流センター アートギャラリーホール
〒252-0171神奈川県相模原市緑区与瀬259-1(地図はこちら)
【参加費】20,000円(消費税込み。材料費、保険代金、両日昼食費含む)
【参加対象】18歳以上。子どもたちと刃物を使った活動をしてみたいと考えられている方。
※原則2日間参加できる方

【講師】松川久美子(森のてしごとや みのむし)、前野 健(岐阜県立森林文化アカデミー 木工専攻准教授)、丹羽かのこ(ぎふ木育指導員/おとなと子どもの里山ナイフ教室講師)
【定員】30名(応募は先着順で受け付けます。定員が埋まった後はキャンセル待ちで受付をします)

お申込み

こちらのGoogleフォームから講座の参加、お申し込みができます。

過去の講座の様子

2022年2月の講座の様子
コロナ禍のさなか、手探りで開催した1回目。1日の講座で、伝えたい内容に尺が追い付かなかった一方で需要と手応えを感じた講座になりました。

2023年3月の講座の様子
日程が1泊2日になり、作品アイテムに魔法の杖が加わるなど内容充実の2回目。

2024年3月の講座の様子
ゲスト講師にライターのかくまつとむさん、自然育児 子どもの庭の園田智子さん(ばばちゃん)をお招きして、刃物を使う意義についての深掘りをした回。実際に子ども達に指導する場を見てもらう「講座内講座」も始めて実施。この回から、子どもたちが刃物を使う場を見て・感じてもらう講座の形ができました。

子どものナイフワークプログラムを見学しながら学ぶ「講座内講座」

実際のプログラムを見学しながら学ぶ「講座内講座」

2025年3月の講座の様子
前年の講座に、地元のお仲間を連れてご参加頂いた札幌の三好さんにお声がけを頂き、初めての北海道での指導者向け講座をこどもとおとなのグリーンウッドワークSAPPOROさんに主催して頂く形で実施しました。

最後に、子どものナイフワークの活動に取り組む理由

保育園のナイフ教室にて、作品作りをする子どもたち

保育園のナイフ教室にて、作品作りをする子どもたち

ちょっと長くなってしまいますが、なぜ、いま、子どものナイフワークが必要なのか?県立の学校の教員がこのような活動をしているのか?
以下にご紹介するのは、私が年間を通じて活動を行っている「おとなと子どもの里山ナイフ教室」の募集告知の際に、文末に記載している活動の趣旨を書いたものです。

おとなと子どもの里山ナイフ教室とは

ナイフ教室の活動より、講師の前野

材料を採りに森に入ったところ

岐阜県立の専修学校、森林文化アカデミーの木工専攻では、令和3年度から子どもを対象にしたナイフワークの実践、研究活動を始めました。特に保育園の年長児を対象に定期的な実践を重ねた研究成果は、当時クリエーター科学生であった髙橋久美子さんが課題研究成果としてまとめ、多方面からの高い評価を頂きました。

1年間の実践を通して、年長児達でもナイフを使った木工ができることがわかりました。また、子どもたちはナイフを使いながら葛藤や喜びを体験し、大きく成長していくことがわかりました。

2つの課題

今の社会では危険やリスクを伴うものは、触れることができないように遠ざけることで子ども達を守ろうとしています。一方で、このやり方は子ども達の学びや成長の機会を奪っているのではないか?と危惧する声も聞かれ始めています。私たちが子ども達にナイフワークの活動を始めたとき、子どもに関わる方々から耳にしたのは「私たちも子どもに体験して欲しいのだけど、どう教えたら良いのかわからない・・」という声でした。

ナイフワークに没頭できる場所

ナイフは危険を伴う道具として、生活から遠ざけられたモノの代表とも言えます。近年では大人も、この危険を伴う道具を「教える技術」を失ってきているように感じます。おとなと子どもの里山ナイフ教室は近年失われつつある、誰もが『刃物の使える場』であると同時に、『安心して刃物の使い方を学べる場』『刃物の楽しさを体験する場』となっていくことを目指しています。

気軽にナイフを体験できる場所を広げたい!

昨年10月のナイフ教室より、講師の丹羽さんのレクチャーの様子。

23年度のナイフ教室より、講師の丹羽さん(写真右)のレクチャーの様子

私たちは「子ども達にナイフを使わせないといけないんだ!」という強い思いで活動しているわけではありません。ただ、子ども達にナイフを体験してもらいたいな・・モノ作りの楽しさを経験して欲しいな・・と考えたときに、気軽に安心して、技術や道具の相談や体験ができる場所は必要だと思うのです。少し前までは、生活の中で身近に触れられた道具や刃物。里山ナイフ教室は、そんなちょっと前の「普通」を身近にしていく場所を目指しています。

同時に、子ども達にナイフクラフトを教えたいという大人の方や、ハードル低めの森遊びをしてみたいと考えている方にとっても、里山ナイフ教室を『初めての体験の場』として、開いていきたいと思っています。

このプログラムでは、子どもと一緒に、保護者の方にも、もの作りの体験をして頂いています。これは体験の時間を親子で共有して頂くことや、木や刃物に触れる時間の価値を大人の方にも体感してもらうことをプログラムの目的にしているためです。
意外に思われるかもしれませんが、当初はもの作りをすることに乗り気でなかった保護者の方からも「親子でこんなにものづくりに没頭できることは久しぶりで、本当に楽しい時間でした!」と、好評を頂いています。

少ない道具で色々なもの作りのやりかたを「楽しみながら」学べるのも、このナイフ教室の特徴です。おとなと子どもの里山ナイフ教室は、グリーンウッドワークやブッシュクラフトなど、多様なナイフワークを参考にしながら、誰もが気軽に森で楽しめるようなプログラムを提案していきたいと考えています。

ナイフは楽しい!

里山ナイフ教室は山で材料を採ってくるところからモノ作りが始まります

里山ナイフ教室は山で材料を採ってくるところからモノ作りが始まります

ちょっと想像してみてください。
身近な山に入り、木の枝をノコギリで切って、それをナイフで削ってみる。しだいに枝だったモノが姿を変えて、道具やおもちゃ、何かの作品に姿を変えていく。
それは、とても原始的なモノ作り体験ですが「物が作られる瞬間」の全てを自分の手で体験することです。それって、とても非日常的で楽しそうだと思いませんか?(これが非日常になっていることも、現代社会の課題なのかもしれません)

この講座では、ナイフ、ノコギリ、手回しドリルの3つの道具を使ってモノ作りを行います。これだけの道具からでも、他にも枝や小径木から作った道具も使って工作を楽しみます。

道具も手作り

道具も木から手作りしたものを使います

森づくりをしながら、木を切り、木を使う体験学習

かつて人の暮らしは森と繋がっていました。しかし、今は人が森に関わらなくなっていったことで様々なことが森と街の双方に起こり始めています。

ナイフ教室で使う材料の採取は、放置されたかつての里山に入り、森の整備・間伐の作業として行います。里山ナイフ教室は、小さな小さな活動ですが、それでも毎月の活動を続けていく中で、確実に森は姿を変えていきます。いま、街に隣接している山や森にはどのような課題があるのか?そんな『身近な環境問題』について、難しく考えるのではなく、実際に森に入って、自分たちの手で森が里山に姿を変えていく姿を見ながら、それぞれに感じたことを持ち帰り考えてもらう。そんな体験学習的な側面もこの活動では意識的に盛り込んでいます。

森のお手入れ

笹を刈り、間伐を行います

この講座はナイフクラフトの入門講座です

この「おとなと子どもの里山ナイフ教室」は、年長児を対象に考えたやさしいナイフ技術をベースに活動をしています。大人向けには、ちょっとした創作のヒントや追加でナイフワーク技術を盛り込んでいるので、大人も子どもも一緒に楽しめる内容になっています。

ナイフって触ったことが無い。木工ってやったことが無い・・という方も、どうぞお気軽にご参加ください。おとな1人でのご参加も、仲良しのお友達やご家族と一緒のご参加も大歓迎です!一緒に森の中でのモノ作りを楽しみましょう!

同じものを作る時間を共有する

過去の活動はmorinosの活動報告からご覧いただけます。(「おとなと子どもの里山ナイフ教室」で検索してください)

子どものナイフワークの活動はInstagramでハッシュタグ「子どものためのナイフワーク」または「子どものナイフワーク」で検索すると、色々な活動事例がご覧頂けます。

私達は、子どもや初心者を対象にしたナイフクラフトの普及に取り組んでいます。
地域や施設での体験、ワークショップをご希望の際は、お気軽にお声がけ下さい。

岐阜県立森林文化アカデミー
准教授 前野 健

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