第3回 子どものナイフワーク講習会を終えて・・

先日の3月16日、17日に、グリーンウッドワーク協会さんと共催した子どものナイフワーク講習会を開催しました。多様な学びが生まれた2日間のレポートは、morinosのウェブサイトの活動報告からご覧いただけます。ここでは、講座を終えた今の雑感やこれからの活動について考えていることなど書いてみようと思います。

子どものナイフワーク講習会で作った魔法の杖

子どものナイフワーク講習会で作った魔法の杖

子どものナイフワークの活動も4年目に

もうすぐ新年度がスタートしますが、これで子どものナイフワークの活動も4年目に突入します。

こっぺの実践が本になります!

こっぺの実践は近々本になる予定・・!

この活動の始まりは、今は仙台で保育士をするこっぺさんの課題研究実践からでした。「保育園で子ども達にナイフを使ったもの作りを体験してほしい・・!」そんな思いから、美濃市内の保育園でのナイフ活動が始まりました。

こっぺさんが卒業した後も、子どものナイフワークの活動を普及していくために、一昨年からは「おとなと子どもの里山ナイフ教室」を始めることにしました。この活動は「いつでも、ナイフ教室に行けば、刃物を使える、刃物の使い方の情報が得られる」そんな場作りが第1の目的でした。当時「子どもを対象にした活動をマネタイズして行うのは難しいんじゃないの?」とも言われたのですが、自分の中には「そんなことも無いんじゃないか?」という思いもありました。この自分の思惑はある程度当たっていて、今では一定数のファン、リピーターも得ながら、普及と研究の場として活用されています(ナイフ教室の参加費は運営を一緒に行ってくれている卒業生の講師料になっています)。

みやま保育園では月に1度の2時間のナイフ教室を続けました

みやま保育園では月に1度、2時間のナイフ教室を続けています

そして、昨年の秋からは山県市立みやま保育園でもナイフ教室が始まりました。ここでは先生方にもナイフの指導方法を学んで頂きながら、子ども達のナイフワーク活動を月に1度のペースで進めています。最近頂いたメールでは、卒園式のひと枠で、ナイフ教室でキノコを作ったことやブーメランを作ったことが嬉しかったと2人の園児が発表してくれたそうです。これはとても嬉しい出来事でした。

自分の行っている子どものナイフワークの活動は、最近になってやっと整理がついてきたことですが、単にイベント的な体験の場を提供するのが目的では無いのです。子ども達が日常の生活の中で、身近にナイフや道具を目にすることができ、子どもも大人も自然にナイフを使うことができるような世の中を実現したいと、そんなふうに今は思っています。

保育園の活動はそんな目標を実現する第一歩として、1つ1つ課題をクリアしながら、ナイフと親しめる環境を作っていきたいと思っています。ただ、この活動は園の先生方にありがたすぎるほどのご協力を頂いている一方で、来年度に向けては、不足している道具をどうするのか?見守りの人員確保をどうするのか?といった課題もあったりします。難問だなー・・と頭を抱える一方で、この逆境を前向きに楽しんでいる自分もいたりするので、来年度の保育園は、とても面白い実践でもあります。

クロスブーメランを完成させた園児達

クロスブーメランを完成させた園児達。来年はもっと人数が増えます。

これから始まる4年目の子どものナイフワーク。これまでよいペースで進んできたのか、ゆっくりだったのかはわかりませんが、着実に焦らずに、この活動の幅と理解者を広げていきたいと思っています。

頼もしいアカデミー卒業生達

先日の子どものナイフワーク講習会では、講座を共催して頂いたアカデミー8期生のグリーンウッドワーク協会の小野さんはもとより、18期生のかのちゃん、20期生のこっぺさんら卒業生が講師として前に立ち、21期生のしめちゃんもスタッフとしてサポートに入りながら、それぞれが立派に講座を回してくれました。まだ卒業して数年の卒業生達が堂々と指導的な役割を果たしている姿を見て、講座にスタッフ参加していた在校生には、とても刺激になったはずです。

子どものナイフワーク講習会の1場面

子どものナイフワーク講習会の1場面。かのちゃん指導の小枝のボタン作り

今回の講座の受講生や講師陣には、その分野のベテランや第一人者という方も居並ぶ中で、堂々と指導にあたる卒業生は、とても良い形でそれぞれのキャリアを積み上げているなと思いました。自分の旗を立てて自らの活動をする卒業生達に向けて「わしが育てた」とかお寒いことを言うつもりは全然無いのですが、アカデミーの木工専攻の人材育成は「成果を上げられている!」と実感できる、嬉しい瞬間でした。

この活動のおもしろさ

子どものナイフワークの研究を始めたとき、まずその研究対象となったのは、子ども達にふさわしい道具の選定であったり、指導技術的なことでした。しかし、この研究と実践を続ける中で、道具の選び方も技術的な方法も、子どもの年代や個性、体験を行う環境にもよって、とても多様な選択肢が正解としてあることが見えてきました。時には、ナイフを扱う技術よりも、いかに周囲の大人が安心できる環境を作り出すか?いかに子ども達が主体的に取り組める環境を作り出すか?そんなことが重要になってきたりします。

道具やアイテムも多様

子どものナイフワークでは道具やアイテムも多様

子ども達にナイフワークを体験して欲しいと考える人にも、多様な背景があります。グリーンウッドワークの普及に努める人。保育園や森のようちえんで、子ども達の体験の場を提供したい人。中学校や高校で自然や環境のことを学ぶアプローチとしてナイフワークの指導技術を知りたい人など。そのいずれの人にも、安心して取り入れられるようなアプローチ方法を、自分は突き詰めていきたいなと思っています。

今年度は、ひょんなつながりから、ムーミン展とコラボしたナイフ教室を企画したりもしましたが、来年度は、そんな自分の関心分野から1歩飛び出すような、異分野トライアルがまた増えそうな予感もしています。フィールドも少しずつ広げて、新しい形のナイフ教室を実践できそうな気がしています。

1番楽しんでいる自分が言うのもなんですが、来年度も子どものナイフワークの活動をお楽しみに!

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