8月のおとなと子どもの里山ナイフ教室では、夏休み恒例となっている、くるま作りを森林文化アカデミーで行いました。
今回、材料に使ったホオノキは、先日、アカデミーの授業で郡上市の広葉樹林の森から伐り出してきたものです。ホオノキは比較的涼しい北の方に多い樹種になります。美濃市や関市などではあまり見かけない木ですが、加工性が良く狂い(変形や割れ)も起こりにくい性質を活かして、飛騨の家具では抽斗(ひきだし)の材料などに使われます。このあたりで見るホオノキは朴葉寿司を作る自家消費用に家屋の近くに植樹されている物があったりします。そんなホオノキの枝を使って、くるま作りにチャレンジしました!
今回はナイフ教室は初めてですよという方から、いつもよくお越し頂くベテランさんまで。多くの方にご参加頂きました。
くるま作りは加工するパーツも多いので、普段のナイフ教室の作品と比べても工程は多めになります。まずは車の基本的な構造となる、車軸の組付け部分をノコギリで作っていきました。

車体(ホオノキの枝)に車軸を通す溝をノコギリで切っていきます

溝ができたら車軸の棒がスムーズに回るかチェックします
実はくるま作りの工程は、ナイフよりもノコギリワークが多めになります。
写真の車軸用の溝切り作業や車のシート部分を作る工程も、ほとんどノコギリを使って加工を進めます。ノコギリというと、「ただ木を切る道具」というイメージですが、くるま作りを体験してもらうと「こんなノコギリの使い方があったんですね!」と、皆さんびっくりされます。

里山ナイフ教室では2種類のノコギリを用途分けして使っています

ナイフ教室に初参加の子達も興味津々
おとなと子どもの里山ナイフ教室で使う道具は「ナイフ」「ノコギリ」「手回しドリル」の基本はこの3つです。この少ない種類の道具でも、工夫しながら使うことで、いろんなものが自由に作れるんだよ!ということも参加されている皆さんにお伝えしたいと思っています。

車軸の溝切り、シートの加工ができたらタイヤを切り出します
くるまの本体の加工ができたら、今度はタイヤを作っていきます。タイヤは4つ必要です。枝からタイヤを切り出した後は、車軸を取り付ける穴あけもしないといけません。このタイヤ4つを作り上げる作業には根気も必要になるため、子ども達にとっては、けっこうなハードワークになるのです。

加工ができたパーツを仕上げていきます

形を仕上げていくところはナイフが活躍します

全部のパーツができ上がったらマレットでタイヤを打ち込んで組立てます
各パーツの形をナイフで削っていって、思い思いの形に仕上げたら、タイヤに車軸を打ち込んで組み立てていきます。このあたりまで作業が進むと、後はそれぞれに工夫を凝らして、くるまを飾り付けていく作業に入っていきます。お隣さんのくるまの素敵な工夫を自分のくるまにも取り入れたり。あくまで、自分の中でイメージするクラッシックカーを目指して作りこんだり。こちらが思っていた以上の、バリエーション豊かな作品達ができ上がっていきました。

リピーターさんは黙々とカスタムパーツを作って、くるまをデコレーションしていきます

完成!左はスペアタイヤを載せたクラッシックカー

かわいいフォーミュラカーもできました

初参加の3人も素敵なくるまが完成しました
今回の、おとなと子どもの里山ナイフ教室は、夏の暑さもあったため、空調の効いた森林文化アカデミーの多目的室で開催しました。それでも、時間はいつもより長めの2.5時間の長丁場。みんな無事にできるかな・・?と少し心配していましたが、そんな心配も杞憂で、ナイフ教室の時間終了後も元気に完成した車を走らせて遊んだり、「もう少し作りこむ!」と、さらに作業に没頭する姿も見られました。皆さんそれぞれに作ること、遊ぶことを楽しんで頂いている様子が伝わり、こちらもとても嬉しい気持ちになりました。

このプログラムでは、おとなも子どももそれぞれに作品作りに取り組みます。
おとなと子どもの里山ナイフ教室では、保護者の方も子ども達と一緒に作品作りを行います。今回は特に、おとなの方々にとても喜んで頂ける活動になりました。子ども達がもの作りに没頭する姿や、ちょっと危ない道具を懸命に使う姿を見ることであったり。また、自分自身も時間に追われずにもの作りに取り組む時間であったりを、とても楽しんで頂けたようです。
おとなと子どもの里山ナイフ教室では、そんな「もの作りを通した素敵な時間」をこれからも広めていけたらと思っています。
また次回のご参加もお待ちしています。
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