8月のみやま保育園のナイフ教室では、かねてより先生方から要望があった楽器作り「小枝のカスタネット」にチャレンジしました。
材料に使ったのは森林文化アカデミーで剪定されたミズナラの枝。中濃地域で見られるのは「コナラ」が多いのですが、アカデミーには植樹されたミズナラの木があるのです(どちらも縦長のドングリができる近縁種ですがコナラは比較的暖かい地域、ミズナラは山間部や寒冷地に生育します)。
ミズナラはこれまでナイフ教室で使ってきた樹種と比べるととても硬い木です。そのため、今回は少しでも削りやすくなるように木の枝をナイフ教室の前日まで冷凍庫で凍らせて保管しておきました。(木は冷凍保存すると水分が抜けないため、生木のやわらかい状態を維持できます)
この日、ナイフ教室に参加した年長さんは18人。道具の数に対して人数も多いため、まずは穴あけをするドリルグループと樹皮削りをするナイフグループに分かれて、作業をスタートしました。
ナイフ教室も回数を重ねて、子ども達も道具の扱いにかなり慣れてきました。一方で、冷凍保存していたとはいえ、堅いミズナラに苦戦する子もいて、削り方を試行錯誤したり、「けずれない~」と弱音が出る子もちらほら。でも、過去のナイフ教室でも実績があるのですが、硬い木を削る経験をすると、次に子ども達がナイフを使うときに、とても上達していることが多いのです。ここはできるだけ手を貸さず、ぐっとこらえて子ども達の作業の様子を見守ります。
ドリルグループも、ちょっと作業に悪戦苦闘する姿が。細くみえる枝であっても、貫通穴をあけるのは子ども達にとっては根気がいる作業になります。
樹皮削り、穴あけが終わった枝をカスタネットにするため、今度はそれを半分に割ります。
ここでは見本を見てから作業に入りましたが、過去のナイフ教室でも回数を重ねてきた(子ども達が好きな)作業工程のため、これはみんな手際よく、自分の枝を割ることができていました。何度やっても「コン・コン・・パカッ」と木が割れる瞬間がみんな大好きのようです。
カスタネットはこれまで作ったアイテムのなかでも工程の数は多めです。次は半分に割ったパーツの断面をナイフで成形していきます。それが終わったら、やっと、2本割りになった枝を手のひらに収まる長さにノコギリで切りました。ここまでくると疲れてきてしまう子も出てきますが、「あと少しで完成だよ!」と励ましながら作業を進めていきました。
パーツが完成した子は、ゴムの色を「青」「ピンク」「茶色」から選んで、先生に木の枝のパーツにゴムを通してもらいます。子ども達はゴムの通ったカスタネットを手渡されると、さっそく手にはめて鳴らそうとしますが・・ぺし、ぺし・・と小さな音がするだけで、なかなか楽器のような音が鳴りません。
実はこの小枝のカスタネットは、ただ手に載せて叩くだけでは上手く音を鳴らさないのです。
「どうやったら良い音が鳴ると思う?工夫しながら鳴らしてごらん」
と促しながら、子ども達は何度もたたいて、音を鳴らすコツを探ります。先生にちょっとずつヒントをもらいながら、コツをつかんでいくと「ぺし・・ぺし・・タン!・・タン!」と、少しずつ、カスタネットらしい音が部屋の中に増えていきました。
予定の時間を少しオーバーしてしまいましたが、ちょっと鳴らすのにコツがいるカスタネットを、みんな無事に完成させることができました。
形や長さによって、音色にはそれぞれ違いがありますが、これから木が乾いていくにつれて、徐々に澄んだ高い音が鳴らせるようになると思います。また、しばらくたったころに、みんなの作ったカスタネットの音を聞きに行きたいと思います。
お歌やリズム遊びの場面など、楽しみながら使ってもらえたらと思います。
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