このプログラムは9月22日(日)12:30からお申込み頂けます。
10月のおとなと子どもの里山ナイフ教室はちょっと変わったアイテム「ドウヌキを模したペン立て、ミニトレー作り」を行います。
今回の講座のあらまし
ドウヌキってなに?
10月のナイフ教室を旧徳山村から移築された古民家を会場に行うことが決まったとき、昔の徳山村の暮らしをテーマにしたナイフ教室ができないかと考えました。そこで、この夏休みに揖斐川町にある徳山民族資料収蔵庫を訪問して、旧徳山村(現揖斐川町)の暮らしで使われた数々の生活用具を見に行ってきました。
徳山村はダムに沈んだ村として知られていますが、山の資源を活用する暮らしが長く続いていた地域でもあったのだそうです。収蔵庫には数々の木製の生活道具が展示されていました。これらの道具(民具)は、自然の形を活かしたデザインであったり、適材適所に木を使う暮らしが見て取れたりと、とても興味深いものでした。
興味惹かれる数々の展示品の中で目についたのが、こちらのドウヌキと呼ばれる容器です。実際には米びつとして使われていたそうですが、展示品はちょっと大きめのバケツくらいの容量がありました。このドウヌキはキリの木の丸太から芯の部分をくり抜いて作られています。比較的柔らかく、軽い素材であるキリを使ったのは木部をくり抜く作業を少しでも楽に行うため。また、大きな容器であっても重くならないよう選ばれたのだと思われます。とてもシンプルなデザインと作りですが、木の特性が上手に活かされています。今回のおとなと子どもの里山ナイフ教室では、このドウヌキの作り方をまねて、ミニトレーとペン立てを作ってみようと考えました。
今回のプログラムでは、ナイフ教室の会場である岐阜県百年公園に移築されている旧徳山村古民家(旧宮川家主屋)の向かい斜面から切り出したコシアブラを使って製作を行います。コシアブラは関、美濃地域の里山林に多く生えている樹種です。材質は軽く、やわらかい木で、加工も比較的容易なのでナイフワーク初心者の方からご参加頂けます。
講座の概要
おとなと子どもの里山ナイフ教室【旧徳山村古民家活用プログラム】
ドウヌキを模したペン立て、ミニトレー作り
【日 程】10月26日(土)
【時 間】10:00~15:00
(1日の流れ)
9:50~ 会場受付
10:00 講師、参加者自己紹介
10:10 旧徳山村の暮らし、製作するアイテムの解説
10:30 ナイフ教室【ペン立て、ミニトレー作り】
12:00 お昼休憩
13:00 ナイフワークを楽しむフリータイム【けずりば】※
15:00 終了
※午後の「けずりば」は、枝木の材料を使った自由な作品作りをすることができます。過去のナイフ教室で作ったことがあるアイテム作りをして頂いたり、午前中に作った作品をもう1つ作ったりする場になります。材料は通常の里山ナイフ教室で使用している小径木(20㎜前後)になります。マイナイフの持ち込みは可能ですが本格的なグリーンウッドワークのようなオノを持ち込んでの作業はできません。(今回のけずりばでは、たき火は行いません)
【場 所】岐阜県百年公園 旧宮川家主屋(岐阜県関市)
【参加費】1名 3,000円(材料費、保険代金、レンタル道具代金を含む)
【定 員】12名程度
【参加対象】年長児から大人まで(小学生以下の場合は保護者1名以上のご参加をお願いしています)
【講 師】 前野 健(岐阜県立森林文化アカデミー 准教授)、丹羽茄野子(おとなと子どもの里山ナイフ教室)
会場地図
下の地図、オレンジの立木アイコンが会場になります。お車で来られる際は岐阜県百年公園北駐車場をご利用下さい。
お申込み
下記リンク先のGoogleフォームからお申込み下さい。
9月22日(日)12:30からお申込み頂けます。
※申し込み枠は3組(1組4名)までです。
フォームの機能上、3組目以後はキャンセル待ち申し込みと表示されますが、人数が定員12名に満たない場合は追加で受付いたします。(キャンセル待ち申込みから、2~3組ご参加頂ける場合が多いです)
お問い合わせフォーム
ご不明な点については、下記フォームからお問い合わせ下さい。
おとなと子どもの里山ナイフ教室とは
はじめまして、森林文化アカデミー木工専攻の教員の前野 健(まえの けん)です。
森林文化アカデミーの木工専攻では、令和3年度から子どもを対象にしたナイフワークの実践、研究活動を始めました。特に保育園の年長児を対象に定期的な実践を重ねた研究成果は、当時クリエーター科学生であった髙橋久美子さんが課題研究成果としてまとめ、多方面からの高い評価を頂きました。
1年間の実践を通して、年長児達でもナイフを使った木工ができることがわかりました。また、子どもたちはナイフを使いながら葛藤や喜びを体験し、大きく成長していくことがわかりました。
●2つの課題
今の社会では、危険やリスクを伴うものは、子ども達が触れることができないように遠ざけることで、子ども達を守ろうとしています。一方で、このやり方は、子ども達の学びや成長の機会を失っているのではないか?と危惧する声も聞かれ始めています。私たちが子ども達にナイフワークを教える活動を始めたとき、子どもに関わる方々から耳にしたのは「私たちも子どもに体験して欲しいのだけど、どう教えたら良いのかわからない・・」という声でした。
「ナイフ」は危険を伴う道具として、生活から遠ざけられたモノの代表とも言えます。近年では大人達も、この危険を伴う道具を「教える技術」を失ってきているように感じます。おとなと子どもの里山ナイフ教室は近年失われつつある、誰もが『刃物の使える場』であると同時に、『刃物の使い方を学べる場』となることを目指しています。
●気軽にナイフを体験できる場所を広げたい!
私たちは「子ども達にナイフを使わせないといけないんだ!」という強い思いで活動しているわけではありません。ただ、子ども達にナイフを体験してもらいたいな・・モノ作りの楽しさを経験して欲しいな・・と考えたときに、気軽に安心して、技術や道具の相談や体験ができる場所が必要だと思うのです。少し前までは、生活の中で身近に触れられた道具や刃物。里山ナイフ教室は、そんなちょっと前の「普通」を身近にしていく場所を目指しています。
同時に、子ども達にナイフクラフトを教えたいな・・という大人の方や、ハードル低めの森遊びをしてみたいと考えている。そんな方にとっても、身近な森のフィールドを活用したナイフ教室は、入門編としておススメです。少ない道具で色々なもの作りのやりかたを「楽しみながら」学べるのも、このナイフ教室の特徴です。おとなと子どもの里山ナイフ教室は、グリーンウッドワークやブッシュクラフトなど、多様なナイフワークを参考にしながら、誰もが気軽に森で楽しめるようなプログラムを提案しています。
●ナイフは楽しい!
ちょっと想像してみてください。身近な山に入り、木の枝をノコギリで切って、それをナイフで削ってみる。しだいに枝だったモノが姿を変えて、道具やおもちゃ、何かの作品に姿を変えていく体験。それは、とても原始的なモノ作り体験ですが「物が作られる瞬間」の全てを自分の手で体験することです。それって、とても非日常的で楽しそうだと思いませんか?(これが非日常になっていることも、現代社会の課題なのかもしれません)
この講座では、ナイフ、ノコギリ、手回しドリルの3つの道具を使ってモノ作りを行います。これだけの道具からでも、他にも枝や小径木から作った道具も使って工作を楽しみます。
●森づくりをしながら、木を切り、木を使う体験学習
かつて人の暮らしは森と繋がっていました。しかし、今は人が森に関わらなくなっていったことで様々なことが森と街の双方に起こり始めています。
ナイフ教室で使う材料の採取は、放置されたかつての里山に入り、森の整備・間伐の作業として行います。里山ナイフ教室は、小さな小さな活動ですが、それでも毎月の活動を続けていく中で、確実に森は姿を変えていきます。いま、街に隣接している山や森にはどのような課題があるのか?そんな『身近な環境問題』について、難しく考えるのではなく、実際に森に入って、自分たちの手で森が里山に姿を変えていく姿を見ながら、それぞれに感じたことを持ち帰り考えてもらう。そんな体験学習的な側面もこの活動では意識的に盛り込んでいます。
●この講座はナイフの入門講座です
この「おとなと子どもの里山ナイフ教室」は、年長児を対象に考えたやさしいナイフ技術をベースにしたプログラムです。大人向けには、ちょっと工夫のヒントを盛り込んでいるので、大人も子どもも一緒に楽しめる内容になっています。親子でご参加頂く場合でも、おとなも子どもも、それぞれに作品作りを楽しんでもらえます。ナイフって触ったことが無い。木工ってやったことが無い・・という方も、どうぞお気軽にご参加ください。おとな1人でのご参加も、仲良しのお友達やご家族と一緒のご参加も大歓迎です!一緒に森の中でのモノ作りを楽しみましょう!
過去の活動はmorinosの活動報告からご覧いただけます。(「おとなと子どもの里山ナイフ教室」で検索してください)
岐阜県立森林文化アカデミー
准教授 前野 健
コメント